人生の短さについて

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名著『人生の短さについて』は、"先延ばしグセ" のある人を目覚めさせてくれる2000年前の古典です。セネカがまだ若いころ、義理の父に宛てた手紙という形式で書いた道徳的エッセイです。

 

人は自分の財産を守るためになら倹約する。しかし時間を浪費することになると、人は最も無駄なことをしてしまう。~セネカ

 

もし毎日86,400円が振り込まれ、午前0時に残金がなくなる銀行口座があったとしたら、私たちは必ず1円でも多く引き出し、賢く使うはずです。 しかし、私たちは1日に与えられた86,400秒を見知らぬ人や無意味なことに喜んで使っているような気がします。

 

セネカのこの本はそんな私たちの考え方を変えてくれると思います。

 

この本から、おそらく最も重要でみんなに当てはまると思われたポイントです。

①余暇、贅沢、財産を追い求めると、長い人生が短く見えてしまう。

②一生忙しくしていても、意味のあることをしていないこともある。

③人生を熟考し、その美点を見つけ出す能力は決して失われることはない。

 

 

 

人生は「余暇」「贅沢」「財産」を求めて生きる人には短く感じるもの

ある活動が価値あるものかどうかを判断するために、自分自身に問いかける良い質問があります。

 

「これを24時間続けてやったら、何になるだろうか?」

 

もしその答えが「何もない」または「大したことはない」であれば、それはセネカが考える「人生を短く見せるための些細な活動」の一つ、ということになります。

 

そのような活動の代表的なものとしては、次の3つが挙げられています。

余暇。仕事をしている最中に引退後の静けさを空想している人は、本当の意味での引退はできない。

贅沢。将来買う車、家、休暇のためだけに働いている人は、それをどうやって手に入れるべきか心配し続けている。

遺産。自分が入る立派なお墓を期待している人は、自分が参加もコントロールもできないイベントの計画に人生の大半を費やすことになる。

 

この3点について一言でいうと「人生の準備に人生を費やしてはいけない」ということになりそうです。余暇も贅沢も、今この時点に関するものではなく、未来の人生に関するものです。遺産などはなおさらそうです。

 

しかし自分が目指している未来の人生は、必ずしも訪れるとは限らないのですから、重要なことを50代、60代、70代に先送りしてはいけないということになります。

 

人生の時間が短いのではなく、その多くを無駄にしているのである。人生は十分に長く、十分な量が与えられているので、それをすべてうまく投資すれば、最高の成果を得ることができる。しかし、それが無頓着な贅沢に浪費され、何の役にも立たない活動に費やされたとき、私たちはついに死の最後の制約によって、過ぎ去ることに気づかないうちに過ぎ去ってしまったことを思い知らされる。~セネカ

 

他人のビジョンに基づいて人生を過ごさない

白髪や皺があるからといって、その人が長生きしたと思ってはいけない。~セネカ

 

単に忙しいだけの人生と、実際に価値のある人生を送ることの違いを説明するために、セネカは船の航海になぞらえて説明しています。

 

例えば、港を出るときに荒れ狂う嵐に巻き込まれ、向かい風の猛威によってあちこちに運ばれ、海の上でぐるぐると振り回された人が、長い航海をしたと思うだろうか?彼は長い航海をしたのではなく、ただ長く翻弄されただけなのだ。~セネカ

 

この「翻弄」は様々な形で起こります。ある者はあまりにも頻繁にコースを調整し、ある者は全く調整せず、ある者は調整すべきだと分かっていても「後でやろう」と言って実行しない・・・。

 

しかし、最も悪いのは、他人のビジョンが自分の帆の風になってしまうことです。自分が行きたくない場所に向かって船を出している人のために、自分の人生をかけて一生懸命にがんばることに何の意味があるでしょうか。

 

人生で本当に大切なものは、決して奪われることはない

いったん財産、娯楽、権力といったものをやり過ごせば、本当の自分の価値は自分の中から出てくる、とセネカは言っています。

 

私たちはものを考えるとき次の2つの真実にもとづくことで、独立し、自分で生きていくことができるようになるのです。

①私たちは常に人生とその最も深い意味を考えることができる。

②私たちは常にその美しさを評価する選択肢を持っている。

 

人生をよく考え、その美点を見出す。他の人間があなたからこの2つを奪うことはできません。病める時も健康な時も、金銭面で苦しい時も余裕のある時も時も、どんな時でもこの2つは常に私たち自身のものです。だからこそこれらの力を発揮しなくてはいけないのです。

 

他人の行動や言葉に腹を立てるのは選択の自由です。しかし、満足することも同様です。後者を選べば、どんな意味でも長生きできるでしょう。

 

人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫)