ヤバい経済学: 悪ガキ教授が世の裏側を探検する

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『ヤバい経済学』には3つの主要なテーマが扱われています。

 

ひとつはインセンティブ。人は報酬や罰にどのように反応するかという問題。 つぎに情報の非対称性。様々な情報量の差からどのような結果が生じるのか、それをどのように補おうとするのか、という問題です。 最後の大きなテーマは、因果関係と相関関係で、私たちはしばしば間違った方法で物事を説明しようとする傾向がある、という話になります。

 

この3つそれぞれから1つずつポイントを挙げて、この本の全体的なメッセージを分かりやすくまとめていきたいと思います。

①3種類のインセンティブが私たちの人生を支配している。

②専門家は私たちよりも多くの情報を持っているという優位を利用しようとすることが多い。

③2つのことが同時に起こるからといって、一方が他方を引き起こすとは限らない。

 

 

 

私たちの選択を支配するインセンティブには3種類

インセンティブというものは、私たちが子供のころから知っているものです。子供の頃に言われた「このお皿一杯を食べ終わったらプリンをあげるよ」から社会人になって「この四半期に車を100台売ったら25%のボーナスをあげるよ」まで、たくさんありました。

 

インセンティブとは、私たちの行動に影響を与えるために他の人が使うもの、と言えるでしょう。

 

この本では、インセンティブには3つの種類があると述べられています。

経済的インセンティブ:時間やお金の損得を伴う

社会的インセンティブ:仲間に受け入れられる、または独立するチャンスを与えられる

道徳的インセンティブ:正しいことをしようとする良心や内なる欲求に訴えかける

 

インセンティブの種類が多ければ多いほど、インセンティブは強力になります。 例えば、犯罪を犯すことに対するディスインセンティブ(=負のインセンティブ)はかなり強力です。仕事や家、個人の自由を失う可能性があり(経済的)、道徳的に最も非難され(道徳的)、もちろん友人を失い、評判もガタ落ちになります(社会的)。

 

専門家はあなたよりも多くの情報を持ちそれをうまく利用することが多い

人間同士の取引では、インセンティブが原動力となっています。だからこそ相手の行動の理由が分かれば、より良い判断ができるようになります。

 

残念なことに、多くの社会構造が私たちに不公平のきっかけを与えていますが、情報の非対称性もその1つです。

 

人は誰でも専門家の助けを必要とします。膝が痛いときは専門のお医者さんに、髪の毛は美容師に、部屋を借りたいときは不動産屋さんにやってもらうものです。

 

その不動産業者は最終的な販売価格のコミッションを得るためにフル稼働しています。 しかし、不動産業者はあなたよりも多くの情報を持っていることをうまく利用し、自分たちに都合のいい方向に話を持っていく人も少なくありません。

 

部屋Aと部屋Bが同じ賃料で借りれるのに、不動産業者は部屋Aばかりを勧めてくる。これは部屋Aの貸出人から今月中に契約を取れればコミッションを10%割り増すと約束されているからかも知れません。しかしあなたはそんなことを知らないので、結局不動産会社の勧めに乗って部屋Aを借りることになった・・・。

 

このとき本当に部屋Aが適切な選択であればいいですが、十分な判断材料がないにもかかわらず業者の勧めに押されて何となくAを選んでしまった、ということになると話は違ってきます。

 

2つのことが同時に起こるからといって、一方が他方を引き起こすとは限らない

上記のような例があるため、私たちは騙されないようにしようと考え、すぐに2つのことを結びつけて考えようとする傾向があります。しかし多くの場合「因果関係」と「相関関係」を混同してしまうため、場合によってはそれが誤った読みになってしまうこともあるのです。

 

例えば、今月31日に自動車ディーラーがお得な価格で車を売り込んできた場合、私たちは「とにかく今月中にもう1台売ってノルマを達成し、ボーナスをもらおうとしているのだろう」と思ってしまいます。

 

しかし、その契約が月末に行われているからといって、彼がその車を勧めてくる理由が分かるとは限らないはずです。 たとえば、彼は自分自身の目標として、その月に販売スキルを向上させて売上を2倍にするというターゲットを立てており、それがこの車を売ることで達成できるのかも知れません。また、生まれたばかりの息子の保育料を払えるよう車を売ろうとしているのかも知れない。他にも可能性のある理由はたくさんあります。

 

お金が選挙結果に与える影響について同様です。通常、選挙運動にお金をかけた人が最も多くの票を獲得すると見られています。しかし実際には、当選した候補者が予算を半分に減らしても有権者の1%しか減らないという調査結果も出ているそうです。お金が選挙結果と相関関係にあるといっても、因果関係があるとは言い切れないのです。

 

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する