イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

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クレイトン・M・クリステンセンは、イノベーションに関する世界的な権威であり、スティーブ・ジョブズが唯一価値があると認めたビジネス書として知られる名著『イノベーターのジレンマ』で知られています。

 

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』(How Will You Measure Your Life)は、ビジネスでの成功よりも仕事とプライベートのバランスをとることを主な目的とした本です。家族や人間関係などを尊重するために仕事と一定の距離を置くことが、長期的にはキャリアと幸福に大きなプラスの影響を与えるという指摘しています。

 

ここでは、私がとくにポイントだと感じた3点を紹介します。

①大切な人との関係は後になって修復できない。

②大切な人たちにとって自分のやっている仕事とは何なのかを自問する。

③自分の限界をいつも意識する。

 

 

 

大切な人との関係は後になって修復できない

あなたは家族の誕生日よりも仕事を優先したことがありますか?

 

家族など身近な人たちとの関係が、私たちにとって最大の幸せの源であることは誰でも心の底から知っています。それなのに、なぜ私たちは彼らに必要な時間を十分に用意できないのでしょうか?

 

ひとつは、仕事はそれが報酬という目に見えるリターンにつながります。仕事の時間を1時間延ばすとで、それが何らかの形でキャリアアップや収入アップにつながる可能性も高まります。

一方で、あなたにとって大切な人たちは仕事のようにあなたから時間を奪おうとしません。そのため、私たちはあえて彼らに時間を使おうとしなくなってしまいます。

 

長続きする人間関係とは、ある意味で逆説的なものです。いつでもいっしょにいるということには、多くの努力が必要なのです。働き盛りで忙しいときには「たとえ今は家族との時間が少なくても、後になれば多くの時間を確保できるだろう」と思えるかもしれません。しかし実際は、過去に家庭生活が受けたダメージは後年になってもほとんど修復できません。

 

家庭生活を仕事と同じように考える

では、大事な人たちとの関係を改善し、それに見合ったスタイルを取り戻すためにできることは何でしょうか。

 

それは、大切な人たちとの関係を仕事のように考えてみることです。皮肉なことに、仕事のために家族との時間を犠牲にするのと同じように、家族のために仕事の一部をあきらめることで、実際に家庭内の人間関係が良くなります。

 

家族との関係をよりよくするために必要なのは「○○は私にどんな仕事を一番求めているだろうか?」という問いです。○○には妻や恋人、両親、場合によっては親友が当てはまるかも知れません。

 

これは人間関係をあえてひっくり返して、自分の視点ではなく相手の視点からアプローチし、深く掘り下げることになります。そうすることで、相手をより深く理解することができ、相手のニーズを満たす良い方法を考えることができます。 これを繰り返していくと、配偶者や子供たちが何を必要としているのかを直感的に察することができるようになり、長続きする大事な関係を築くことにつながります。

 

限界思考の罠に陥らないために

もう一つ大切なのは、自分自身との関係です。

 

自分とのよい関係を守るための簡単な方法は、良心に基づいて誠実に生きることです。自分の良心が澄んでいれば、納得のいく決断や行動をとることできるようになります。

 

ほとんどの人は誠実であることが正常な状態ですが、時として誠実さを失ってしまうことがあります。 では、誠実さを失わないためにはどうすればいいのでしょうか?

 

これには「限界思考」を意識していくことが大切です。 限界思考とは、ここでは自分の物の見方や考え方に限界があることを認識することを意味します。

 

例えば、映画のレンタル市場では長年「Blockbuster」が世界のトップとして君臨していました。ある日、Netflixという小さな会社がDVDをお客さんに郵送で送り、観終わったら返却してもらうというサービスを始めました。BlockbusterはこのNetflixの方法を取り入れるために必要な限界費用をつぎ込もうとしませんでした。結局これが業界地図を変えることになり、2010年に倒産してしまいます。

 

金融業界でも自分たちの限界を意識していなかったために、2007年から2008年にかけて多くの銀行員が悪質な住宅ローンの信用を「問題ない」と押し切っていました。しかしそれが完全に悪化の一途をたどり、最終的に世界金融危機に至りました。

 

彼らは、間違った判断をすぐに受け入れることで生じる限界費用を支払うことを嫌ったため、長期的にはすべてを失ってしまったのです。このように、自分の考えに限界があることを認識するだけで、大きな違いが生まれることになります。

 

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ