タイタン ロックフェラー帝国を創った男

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ジョン・D・ロックフェラーと言えば歴史上の人物であって、アメリカの富を表す別名のような印象でしたが、この本ではロックフェラーという人がいわゆるアメリカンドリームを実現した一人のシンボル的な存在であると同時に、単なるビジネスマンでは終わらないその生きざまについても書かれています。

 

困難の多い少年時代を過ごし、また巨万の富を築きながらもロックフェラー帝国は最終的に解体されてしまったという事実など、必ずしも彼の人生がバラ色一色だったわけではないことも分かります。

 

また長年蓄積してきた巨万の富を慈善活動につぎ込み、その慈善活動を「スタンダート・オイル」社が解体された後も続けた、という彼の別の側面も知ることができたのが特によかったです。

 

以下、とくに印象に残ったものをメモしておきます。

 

 

 

実家の切り盛りと経理の経験が事業成功の第一歩

父親は実業家だったが成功からは程遠く、また仕事のために家を空けることも多かった。ロックフェラー少年は父親不在の家庭で、父親代わりに一家の切り盛りをせざるを得なくなる。これがのちに彼自身が事業を興し、それを成功に導くための最初の訓練になった。

 

ロックフェラーは16歳で学校を卒業すると経理担当者として会社員生活をスタートする。この経理マンとしての経験も後年自分のビジネスを管理するうえで大きく役立つことになった。

 

石油会社のみならず石油を運ぶ運搬業にも手を伸ばてゆく

始めて設立した会社は物品販売の会社だったが、そこで得た資金をもとに製油会社を買収。 次々と他の石油会社を買収してゆき、事業を拡大していく。

 

さらに石油運搬のために貨物運送の分野にまで乗り込んでいく。運送も自分の手で行うことで運送料の削減が可能になり、石油会社はますます大きな利益を上げていくことになる。 事実上アメリカの石油産業を一手に収めたころ、ロックフェラーはまだ35歳だった。

 

その一方で、彼の実生活はとても質素だった。豪邸を買ったりすることもなかった。 また会社の従業員たちには気前のいい給料を払い続け、また部下たちからの提案にも積極的に耳を傾ける経営者だった。

 

会社は解体されるが慈善事業であらたな成功を収める

こうしたロックフェラーによる企業の買収があまりにも広範囲に及んだため、その影響力が社会問題になり始める。 結局、最高裁判所にて独占であるとの判決が下り、ロックフェラーのスタンダード・オイル社は解体を命じられることになった。

 

ここでふつうの人であれば、自分の育てた会社が強制的につぶされるのを目の当りにしたら心がやられてしまい、何もやる気が起きなくなってしまうだろう。 しかし彼はビジネスから手を引く一方で、これまで以上に慈善事業に取り組み始める。 「ロックフェラー財団」は初年度にロックフェラーが拠出した100ドルという資金からスタートし、最終的にはアメリカ史上最大の慈善団体の一つに育っていく。

 

享年97歳という長寿で、晩年になるまで毎年クリスマスパーティーを開催するなど、フロリダの自宅で多くの人に囲まれながら老後を楽しんで暮らした。

 

アメリカンドリームの一方で冷徹非情な一面も

英語で「rags to riches」(ボロ切れから金持ちへ)という表現がありますが、このロックフェラーがまさにそれを体現した人だったのだと思います。 一人のビジネスマンとして読んでもインスパイアされるものが必ずあるはずだし、一方でアメリカの歴史の一ページを知ることもできる本でした。

 

同時に、ロックフェラーが貨物運送業にまで手を出し、次々と他の石油会社の買収を重ねていく辺まで読み進めると、彼の強引なまでの事業拡大方針が少し怖くも感じました。 ビジネスで本当に成功する人間の持つ冷徹非情さのようなものも、この本を読んでいて所々で感じるものでした。

 

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